微糖、微熱、微々たる鼓動
別に理解してもらおうなんて思っていないし、夢野のような人間に分かるはずもないと思っていた。



しかし、夢野は小さく笑って「分かります」と答えた。


想定外の答えに、窓にやった目線を夢野の方へ戻す。



「大変ですよね。心が読めないから、相手が何を思っているか分からないし」



それに、と付け足すと、夢野はそっと目を閉じる。



「自分の気持ちが相手に100%伝わることないんてないですから」




疲れちゃいますよね。と笑う夢野は、どこか寂しそうだった。



こいつもそんな顔するんだな。



どこか人間離れしていて、近寄り難いというか理解出来たかった夢野の1部を、少し分かった気がした。




「それでも私は人と話すのが好きです。その人の世界に入っていく感覚がドキドキするんです」




「・・・やっぱり、お前のこと理解できないわ」




「ふふ、面白くないですか?」




先程の寂しさなど嘘だったかのように、夢野はまるで少女のように笑う。



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