ハーデンベルギア

告白

私は、12年間片想いし続けていた幼馴染みの遊矢(ゆうや)に告白をした。



「遊矢のことが、好きです...」


紅菜(くな)...ごめん」



遊矢からの返事を聞いて、言わなきゃ良かったと後悔した。

言わなきゃ良かった。

幼馴染みのままで、いれば良かった。

でも、ウソにすれば...



「ウソに決まってんじゃん!」



私は、目に溜まって、今にも溢れそうな涙を隠すようにして、無理矢理に、思い切り笑った。



「そっか」



そう言った遊矢の顔は、どこか悲しそうだった。

なんで?

なんで遊矢が、そんな顔するの?

苦しいのは、私なのに。

そんなことを思いながら、もう一度無理矢理笑った。

私今、ちゃんと笑えてるかな?



「引っかかってやんの」



今にも出てきそうな気持ちを、言葉を、想いを、全部全部抑えて、そう言った。

でも、本当は、好きだと言いたかった。

大好きなんだと、言いたかった。

怖いよ、怖いけど、でも、言いたかったんだ...



「...ウソ、本当は好き」


言いたかったはずなのに、言ってしまった後、ひどく後悔した。

なにしてんだろ。

泣かないように、返事を聞いて泣かないように、言わないように、してたのに...



「ごめん」



やっぱり...

わかっていたはずだったのに、遊矢の、ごめんという言葉を拾って、今度こそ耐えきれなくなった私は、涙を落とした。

っ、やっぱり、言わなきゃ良かった。

もう、明日から、遊矢と今までみたいにいれないよ...

幼馴染みで良かった。

隣にいることができるのなら。

幼馴染みでも、十分だったの...!!

良かった...の...

なのに、十分だったはずなのに、なんで言っちゃったんだろう?

私はもう、遊矢の幼馴染みにも、彼女にも、好きな人にもなれないの...

こんなことなら、言わなきゃ良かった。
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