「 最 愛 」


肌寒くなってきた最近。


終わりの会で、担任わ、
今週末の文化祭について
一生懸命説明している。


「だ〜れも聞いてないし」


笑いながら振り返ったの
わ、このクラスで、唯一
仲の良い「川中絢子」だ。


「文化祭とか面倒だね。」


頬づえをついたままで、
絢子に愛想笑いをした。


「でもいいじゃんか〜!」

「はぁ…?何がいいの?」


苦笑いして聞いてみると
絢子わニヤッと笑った。


「裕也くん来るでしょ?」

あ〜…。そうだっけ…。

「まあ…多分だけどね。」

「いーな!年上の彼氏…」


絢子も図々しく私の机で
頬づえをついてみせた。


「しかも裕也くんなんか
すごくカッコいいし…」

「そぉ?別にそんな事…」


まあ、あんたの彼氏よリ
わね。なんて冗談で前に
言ってみたら、叩かれた
から…今日わ言わない。


「まあ、頑張ってよね!」


と言って前をむき直し、
補助カバンの中に隠した
携帯でメールを始めた。


文化祭の説明わ、いつの
間にか終わっていた…。


━━ キーンコーンカーンコーン ━━


1日が終わるチャイム。

「さようなら」と声が飛び
交う中、ろくに挨拶もせ
ず、教室を飛び出した。





トイレの鏡に向かって、
学校用の薄化粧を直す。

先生がいないか見渡して
携帯をひらくと、不在が
1件。それを見るなり、
私わ走って校舎を出た。
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