__愛しのジュリエット__


気づくと私はまた屋上に来ていた。

「はぁー、」


「なんで柚衣はいつもため息ばっかなんだ。」

なんと、片岡くんも着いてきていたらしい。
まぁ別にいい。

.....っんん??


「え?今柚衣って言った??」

「そりゃあ言うだろ。
 だってクラスメイトだぞ?」

「あ、そっか。」


「てかなんでだ?
 なぜお前はため息ばっかなんだ。」

「知らない、けど。
 なんか辛い時とかこまってるときは、
 自然と屋上にきて、
 ため息ばっか吐いてる。」

「柚衣は知ってるか。
 これは中学生の理科だ。
 ため息ばっかすると、二酸化炭素が
 たくさんでてくる。
 よって、地球温暖化に繋がる。」

「そのくらい分かるわよ。」

「じゃあ、地球に悪いことを柚衣は
 ずっとしている。暇な時こそ。」

「そっか。
 てかさ、なんで片岡くんはそんなに
 演技が上手くいくの?」

「片岡でいいよ。いちいちくん付けんの
 めんどくせーだろ。」

「あ、わかった。」

「んー演技を意識したことはないけど、
 興味はある。
 実はさ、俺の両親俳優やっててさ、
 なんか演技うまい血みたいなのを
 受け継いできたって感じ?」

「えーすごい。
 なんか尊敬するな。」

「柚衣の親は?」

「私の親は、パート。
 クリーニング屋で働いてる。
 どこかのおばさんと一緒だよ。」

「おばさんゆーなよ。
 おばさんでもパートでも、 
 お前を産んでくれた実の母だろ。」

「まぁそうだけど。」

「だろ?
 なら自信持て。
 お前は両親から色々なものを受け継いできた。
 それは全てタメになるものだ。
 それを信じて、恥ずかしがらずにジュリエットを演じてみろ。」

.......

どことない感動。
経験したことのないこの胸のざわめき。

なぜだろう。
彼の言葉がとても響いた。
彼の実体験から得た情報かもしれないが、
それでも私の何かに刺さった。


「あ、ありがとう。」

「おう。じゃあ教室戻るぞ。」
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