【完】おにぎり恋愛日和‼︎

「天音くん?」

どうしたの、そう尋ねた私は目を見開いた。

「仕事。17時からリハがあるから」

姿を見せた天音くんは、なんと外出する準備をしていた。驚いた私は思わず彼をこれ以上進ませまいと駆け寄る。

「いやいやまだ身体辛いでしょう?無理だよ、今日は身体を休めた方が良いって」
「そんな訳にはいかないでしょ。メンバーにも迷惑掛けるし」

頑なに行こうとする天音くんに「いやいや、本当に!無理だって!」と私は思わず声を荒げた。無理矢理引きとめようとする私に彼は怪訝な表情でこちらを見下ろす。

「少し体調が悪いからって許されるような甘い世界じゃないの」
「っ、」

今、天音くんは私に一線を引いたような気がする。
突き放されたような気がして、ぐっと唇を噛む。
確かに私は芸能人じゃないし、彼の家族でも恋人でも何でも無い。立場が180度違うのは分かっている。

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