【完】おにぎり恋愛日和‼︎

「今が1番大事な時期なんだから、休むわけにはいかない」

から、とその瞬間天音くんの身体が前に傾いた。私は咄嗟に支えて「もう!だから!」と声をあげた。やっぱり足元がふらつくほどに具合は悪いらしい。

「今の天音くんには無理だって!」
「大丈夫だって。そもそも俺がどうなったって青山には関係な、」
「天音くんは大人気のアイドルだよ!もうひとりの身体じゃないの!」

言葉を遮って強気に出た私に、天音くんは一瞬狼狽えた表情で固まった。立っているだけでも辛いことも忘れて、私はそのまま彼に訴えかける。

「天音くんがこれ以上身体壊したらメンバーの人だって、ファンの人たちだって、悲しむよきっと」

私だったら、好きな人や応援している人には元気でいて欲しいに決まっている。今にも倒れそうなくらいに体調が悪いことを知って、誰が嬉しくなるものか。1つでも多くの仕事をこなしたい気持ちは理解できるけれど、今は身体が心に追いついていけていない。
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