【完】おにぎり恋愛日和‼︎

さらにあの天音くんから「ちゃんとしたモノ食べなよ」と言われた始末だ。少し前までTHE不健康生活の猛者だった癖に、と言い返したら喧嘩になった。もちろん言い負かされて終わったけれど。

「本当に良いの?後で高額請求したりしない?」
「人の善意を何だと思ってるの」
「いやぁ、だってコレ、転売サイトで高額取引されているんだよ?」

どうにかして手に入れたくて、チケットの流通サイトを覗くとその金額に驚いた。下手したら桁が1つ多いのもあって、泣く泣く諦めたのだ。

そんなチケットが、今、目の前にある。

きらきらと目を瞬かせながらそのチケットを食い入るように見つめていると、彼はひらりと私の目の前に翳す。

「まぁ、この前看病しに来てくれたお礼ってことで」
「まっまさか闇の取引でGETしたわけじゃないよね・・・」
 
ギョッとした顔でそう尋ねる私の頭を天音くんはベシッと叩く。

「馬鹿。夏樹からもらったの」
「あーナツキさんね」
「ちゃんと顔と名前一致してる?」
「分かる分かる、リーダーの人だよね」

流石の私でも覚えた。本当かなぁ、と疑いの目を向けてくる天音くん。「本当だとも」と胸を張って断言する。

 
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