【完】おにぎり恋愛日和‼︎
理由を問うと、外の空気を吸いながら散歩したいとのこと。ひとりで行けばいいのにと思ったが、話し相手が欲しいらしい。
話を聞くだけだったらお安い御用である。

それから私たちは天音くんの家からそれほど遠くない大きな公園にきた。池の周りを囲むように散歩コースがあり、この時間でもランニングしている人もちらほらいる。

昼間やお花見シーズンは人で溢れる人気スポットだが、肌寒い季節の夜になると少ないものだ。

暫く歩いた先にあった池のほとりにある三人掛けようのベンチに座った天音くん。自然と空いていた右隣に、私もゆっくり腰を下ろした。

そして始まったのはいつもの世間話。

授業の話や最近の芸能人のゴシップ話。今度食べたいご飯のリクエストや今度始まるライブツアーなど他愛もない話ばかりだ。

日常となったお喋りに、最初はいつものように返していた。


けれど、私は気付いている。
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