【完】おにぎり恋愛日和‼︎

「これはどんな料理だ」と英語で尋ねられているが店員さんは上手く聞き取れなくて、お客さんも言いたいことが伝わらなくて困っていたのだ。

「だからね、私通訳したんだ。たまたま英語だったからね。そしたらすっごい外国の人にもお礼言われて、お姉さんにもお礼言われてデザートサービスしてくれたんだ」

このまま見て見ぬ振りするのも何だか罪悪感があって、店員さんとお客さんの間に割り込んでしまった。すると外国人の人にもお店側にももの凄く何度もお礼を言われた。君のお陰で美味しいジャパニーズディナーが出来たと、握手を求められたくらいだ。

今思い出してもふっと笑みが溢れてしまう。

「その時にさ。あぁ今の私って存在価値がすごいあるなって思った。私が居るだけで助かる人がいるんだなって」

まごころ屋でアルバイトしている時とは、また何か違う特別感というか。私にしか出来ないことがこんな一介の飲食店でもあったんだ、と気付いた時に私は初めて「自分を自分で誇りたい」と思えたのだ。
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