【完】おにぎり恋愛日和‼︎
「それに、その悩みに気づけたってことはさ。天音くんがちゃんと周りを見てる証拠じゃん」

「いつものエベレスト級のプライドはどこにいったの」と、そう告げると、天音くんは自覚があったのか少し顔を歪めて黙り込んでしまった。彼がこんな感じだと私も調子が狂ってしまう。

「負けん気の強さはピカイチだと思うよ」
「それって褒め言葉?」
「褒め言葉だよ」
「それだけ貪欲になるくらいに、一番になりたいってことでしょ」

その為に努力して、身も心も時間も削って、我武者羅に頑張ってきた。その過程があるからこそのプライドであって、ただ単にプライドを高く持っているだけの人とは違う。

人の良さを認めることが出来る素直さも持っている人間なのだ。だからこそ自分にはないものだと劣等感を抱いてしまうのだろう。
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