【完】おにぎり恋愛日和‼︎

3人がグルだと分かったところで、自然と頭に浮かんできたのはもちろん天音くんの顔だった。

さて、彼はこのことを知っているのだろうか。

助手席はもちろん後部座席にも天音くんの姿はない。私が拉致されていることを彼は知っているのだろうか。そう思ったが、わざわざ「今から誘拐するけど大丈夫?」なんて了解を取る人なんていないだろう。

それに私を事務所に連れて行きたいのならば、天音くんを通してからの方がスムーズだろう。以前のようにお弁当の配達だとか言って呼び出した方が自然だ。

つまり、天音くんはこの現状を知らない。知らされていないのだろう。

学校終わりに待ち伏せしたのも、きっと彼が別案件の仕事で一緒に居ないことを知っていたからだ。

「なんだか、人質にでもされる気分です」
「うーん。あながち間違いじゃないかもねぇ」
「えっ本当に人質にされるの?」

すると瑠衣くんは笑った。「三鈴ちゃんの返答次第かな」と。

うーん、雲行きが怪しすぎるな。
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