【完】おにぎり恋愛日和‼︎
主犯格だろう彼は一体私に何の用があって呼び出したのだろうか。
まごころ屋の配達なら喜んで承るが、どうやらそんな空気じゃないのは分かっている。
「さ、冷えているうちにタルトでも食べなよ」
「・・・頂きます」
とりあえず言われるがままタルトに手をつける。ぴかぴかと宝石みたいに光る果物をひとくち。思わず「うわ、美味しい」と言葉が漏れてしまった。さすが有名タルト店のお菓子である。きっとこの1ピースだけでも1000円近くはするだろう。
「ここのタルト美味しいよね。コーヒーもいいけど、紅茶ともよく合うんだよ」
「へぇ・・・。夏樹くん、紅茶を飲んでるイメージありますもんね」
「実は少し興味があってね。勉強しているんだ」
英国紳士のオーラを身に纏う夏樹くんには、紅茶がよく似合うだろう。「今度時間があったらお茶会でもしようか」と告げる。それは私も含まれているのだろうか。とりあえず「いいですね」と返しておく。何の意味も含まれていない平べったい言葉だと自分でも少し引いた。