【完】おにぎり恋愛日和‼︎

けれど、それじゃあ私の外堀をわざわざ埋めることと矛盾していないだろうか。ドラマや漫画じゃ、アイドルと一般人は引き離されるのがセオリーだ。

まぁ大体最後は紆余曲折ありながらも2人はくっついて幸せになるパターンが多いのだが、残念ながらここは現実である。そんな物語のようなこと起きるわけがない。

「そしてその起爆剤は、君だと思っているんだ」

思わず飲んでいたコーヒーを吹きそうになってしまった。

「私?・・・そんな大層な人間じゃありませんよ」

役不足です、と苦笑いする。それでも夏樹くんは「そんな謙遜しなくて良いよ」と、変に落ち着いていた。

「君が光春の手を取ってくれたら、光春自身もvoyageもきっと革命が起きるはずだ」

夏樹くんは本当に私に選択肢を与える気もないのだろう。私に有名店のタルトを貢がなくても、彼の中での今日のお茶会のENDは最初から決まっていたのだ。もうそれが決定事項かのように、その浮かべる笑みの中にも圧を感じる。
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