【完】おにぎり恋愛日和‼︎

「これは賭けなんだよ」
「でも、それって悪い方向に転がる可能性だってあるってことですよ。芸能生命が懸かっていることくらい、素人の私にだって分かります」
「それを言うならプロの僕からしたら、この賭けは良い方向に転がる自信しかないんだ」

さらにトドメを刺すように「自慢になっちゃうけど、僕の選択って今まで間違ったことないから」と言われて、もう私も何も言えなくなってしまった。いや、言うのを諦めたと言う方が最適か。夏樹くんに口で勝てる気にならないし、最終的には頷く他ないのだからもう一緒である。

「夏樹くんって、性格悪いんだね」
「そうかな。でもちゃんと時と場所、人は選んでいるよ」

普段はファンの子たちの王子様だからね。そう臭いセリフが返ってくるが、顔がイケメンなもんだから違和感を感じないものである。

その後に、夏樹くんは「まぁ、正直な話、」と口を開いた。

「光春が休憩に入るたび携帯を眺めながら悶々としているからね。ちょっと煩わしいなって思っていたところだったんだ」

本当に、天音くんよりも底意地が悪いなこの人。


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