【完】おにぎり恋愛日和‼︎
「じゃあ曲振りは頼んだよ」
「夏樹はいつも予定にないこと言い出すよね」
まぁまぁ今に始まったことじゃないじゃん。と宥める瑠衣くん。しょうがないなぁとでも言うような澄まし顔で天音くんはマイクを握り直して会場へ顔を向けた。
その時。
「えっ・・・」
こちらを見た天音くんと、一瞬目が合ったような・・・気がした。
少し目を細めて、ふわりと口元を緩める。
でも前方の客席の人たちがざわざわしていたから、もしかしたら目があったのは気のせいだったかもしれない。だってさすがにあの距離から私個人を見つけるなんて相当難しいだろう。
いや、でも、あの時天音くんは私を見ていた。