【完】おにぎり恋愛日和‼︎
間違いなく、その瞳は私を捕らえていた。
だってほら、今も。
遠くにいる君の瞳の中に私が映っているような気がするのだ。
一本の線で繋がったかのように合わさる視線に、私はゴクリと唾を飲み込む。
「それでは聞いて下さい。voyageの新曲───親愛なる君へ」
どくりと、強く心臓が波打った。どきりなんて可愛いものじゃない。息が詰まるほどの衝撃が身体全体を走って、全ての思考が停止する。冬なのに身体が真夏かのように熱くなって、反射的に落ち着かせようと身体が無意識に大きく息を吸って吐き出す。
「あー・・・本当に、もう、」
天音くんのソロから始まる新曲。
ひとつひとつの歌詞が、言葉が、鼓膜を通って私の心に落ちてくる。私たちが出会った春からの日々をなぞらえた、言ってしまえばラブレターに近いものだった。様々な情景が頭を過っていく。