【完】おにぎり恋愛日和‼︎
こんな感覚初めてだ。泣きたいわけじゃないのに、涙が勝手に浮かんでくる。

言葉で表すのはとても難しいけれど、でも全然嫌じゃない。

むしろ───

「こんなのずるいなぁ、」

天音光春という人間をひとりの男として認識した次の瞬間には、全て身も心も持っていかれていたのだ。

目の前にいるのはアイドルの天音光春なのに、今私の目の前にいるのはいつも隣にいた天音くんだった。

実を言うと、それからのことはよく頭に入ってこなかった。

曲もMCも何もかも。考えることは天音くんのことばかりで、他のことが入り込む余地すらないほどに、いっぱいいっぱいになっていた。
 
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