【完】おにぎり恋愛日和‼︎
「いや、楽屋って言われてもどうしたら、」

そんな私の気持ちが届いたかのように「近くのスタッフ捕まえて話通してもらって」と連絡が来る。手土産も無いのに行くのは少し気が引けるけれど、感想だけでも伝えようと私はスタッフの人を捕まえることにした。

楽屋に入れるまでの待っている時間。未だに治らぬ動悸に、私は自分に言い聞かせていた。
そうだ。きっとこれは吊り橋効果ならぬ、ライブ効果だ。

きっと彼らに魅せられてファンクラブ入会に並んでいる人と私は同じだ。
ただ、アイドルの天音光春のファンになってしまったということ。
ほら、アイドルに恋してしまう一般人なんていっぱいいる。それと同じだ。

そう思い込ませるかのように念じるけれど、脳裏に浮かぶのは目が合った瞬間に笑った天音くんの顔だった。
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