【完】おにぎり恋愛日和‼︎


惹きつけられるように、吸い込まれるように、その瞳の中に私の姿が映る。

「青山と・・・三鈴と、ずっと一緒にいたい」

そう願った天音くんの表情は、今までに見たことがないほどに穏やかで、砂糖を溶かしたように甘くて、朝日に照らされて造形物かのように綺麗だった。

次に口を開いたのは、返事を求められている私・・・ではなく天音くんの方だった。眉を下げて笑みを浮かべた彼は「あ、ほら」と広がる水平線に向かって腕を伸ばす。

「昇ってきたよ、初日の出」
「うわぁ、本当だ」

姿を見せた朝日は、辺り一面をオレンジ色に染めていく。

岩にぶつかって上がる水飛沫も、星夜空に散りばめられた星のようにキラキラしていた。新しい一年の幕開けと同時にm背中を押してくれるような、そんなパワーを持った眺め。

今年見た初日の出は、昨年のものよりも輝いて見えた。

 

< 230 / 368 >

この作品をシェア

pagetop