【完】おにぎり恋愛日和‼︎

「今はそれだけて十分。その言葉だけがずっと欲しかった」

そう言って、天音くんは私を抱きしめたのだ。

その力はとても優しかったけれど、思いの外背中に回された腕の力は強くて身動きが取れない。全身をがばりと包み込まれるような体勢に、まるで逃げるなと云わんばかりの圧も感じる。
 
これは暫く動くつもりはないのだろう。

天音くんの顔はこちらからは見えないけれど、そう察した私は彼の気が済むまで静かにしていようと決めて身体の力を抜いた。それに、何だかんだこの温もりが離れると寂しいと思っている私もいる。

 スゥーっと吸い込むと、大好きな天音くんの匂い。全身が包み込まれる彼の匂いと、暖かい体温と、心がいっぱいの愛で満たされる幸福感。
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