【完】おにぎり恋愛日和‼︎
「もっとこっちに集中してよ」
「うっ・・・いきなり、そんなこと言われましても」
「なるほど。キスしてほしいってこと?」
「いや、違っ」
「それはそれでなんか傷つくけど」

不貞腐れる顔も格好良いとは何ごと。それに集中しろと言われても、天音くんとこの距離感に腰が引けるのだ。恋人という特別な関係性になってから、上手く距離感が測れない。変に意識してしまって、彼の言動ひとつに身構えてしまう自分がいるのだ。

「ほーら、早く」
「みっ・・・、」

もうキャパシティオーバーである。たった4文字なのに、なぜこうも素直に口にできないのか。でも、やっぱり友達のままが良かったなんて天音くんに思われたくはなかった。私だって、天音くんが喜んでくれるなら何だってしたいとは思っている。

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