【完】おにぎり恋愛日和‼︎

「光春・・・くん」

初めて呼んだ下の名前。死ぬほど恥ずかしいけれど、そう彼を呼べる理由があるのだと思うとそれだけで幸せだとも思う。いや、本当に恥ずかしいけれど。

「へへ。やっぱりちょっと恥ずかしいや・・・っ、!」

おちゃらけたように笑ったその瞬間、左の方をぐっと掴まれた。そのまま力任せに身体は傾き、上半身だけ天音くんと向かい合うような形になる。突然のことに理解が追いついていない私に───慈しむように笑みを浮かべた天音くんはキスを落とした。

じわりと伝わってくる熱にキスされたのだと1テンポ遅れて気付いた。驚きで思考がショートした私は、そのまま後ろに倒れ込む。即座に天音くんが慌てて手を添えてくれたおかげで、後頭部を床にぶつけることはなかった。

「名前呼んだのに・・・!キスした・・・!」

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