【完】おにぎり恋愛日和‼︎
ガチャリ。家の鍵が開錠される音で目が覚めた。
もちろん鍵を開けたのは私ではない。きっと合鍵を渡していた光春くんだろう。
少し前に、深夜に家に遊びに来た時にわざわざ起こして鍵を開けてもらうのは申し訳ないからと作ったのだ。深夜ならわざわざ来なくてもいいのに、と思ったことは内緒である。
知っている足音が寝室の向こうで響き、冷蔵庫を開閉する音とビニール袋の音が聞こえてくる。
薬を飲んだおかげが幾分か楽になった身体を起こすと、ガチャリと寝室のドアが開かれた。
「三鈴?」
「・・・光春くん」
私の名を呼ぶ声は、予想していたものよりも穏やかで優しい。
だって私たちは何日も口を聞かないほど喧嘩をしている最中だったのだ。