【完】おにぎり恋愛日和‼︎
「ごめんね光春くん。少しだけ待ってて欲しい」
ずっと1人で悩んでいた時は苦しくでしょうがなかったけれど、光春くんの顔を見たらなんだか大丈夫なような気がしてきた。今の私たちを繋ぎ止めるものはお互いに向ける“好き”だという気持ちだけで何の担保にもならないが、この決断は幸せと愛で溢れた未来に向かっていると信じたい。
「あぁでも1つだけ条件出してもいい?」
「条件?」
「日本に戻ってきたその時は、真っ先に俺に会いにきて」
そして、毎日俺の為だけにおにぎりを作って欲しい。そう告げた光春くんの言葉は未来への確約を乞うようなものだった。
珍しく声を震わせた彼の目尻に光るものは、あえて気付かなかったフリをした。
「うん。1番に光春くんに会いにいくよ」
それに気付いてしまうと、せっかくの覚悟がまた揺らいでしまうから。