【完】おにぎり恋愛日和‼︎
「ちょっ・・・声抑えなよ」
「ごっごめん」
光春くんの話によるとスタイリスト時代から愛衣さんは貴ちゃんのことが好きだったらしい。アパレルブランドが軌道に乗って自分に自信がついたからと貴ちゃんにアタックを開始しようとしたものの、何と彼女は好きな人を前にすると緊張してパニックになるらしいのだ。
「えぇ意外だなぁ。すっごく愛衣さん、仕事も出来て綺麗で格好良い人ってイメージなのに」
「だからまずは俺が仲介しろってさ」
「瑠衣くんはこのこと知ってるの?」
「多分ね。でも弟には相談し辛いんじゃない」
確かにそうかもしれない。そう思っていたらエレベーターが到着する。光春くんは先に私を乗り込ませてから後に続く。
「私、自分の家の鍵光春くんの家に置いてきちゃったから一回寄らないと」
外に出たら一気に現実に戻っちゃうなぁと名残惜しさを感じていると、私に背を向けていた光春くんはエレベーターのボタンを押した。