【完】おにぎり恋愛日和‼︎
「え・・・?」
唯一『22』のボタンが点灯しているのを見て私は目を丸くする。私たちは1階の入り口から入って、ここまで来たはずだ。驚いて斜め後ろから光春くんの顔を見上げると、彼はスーツのポケットからとあるものを取り出したのだ。
「まだ帰すなんてひと言も言ってないけど」
それは紛れもなくカードキーだった。
まさかと声が出ない私を見てイタズラが成功したかのように笑った光春くんはキスをする。
「直前だったからスイートは取れなかったけど」
───それはまた特別な日にね。
宿泊する部屋に入ってからの光春くんは、その日眠りにつくまで・・・いや、眠りから覚めるその時まで私と片時も離れることをしなかった。
肩を寄せ合いながら夜景を眺めたことも、時間も忘れて激しくぶつけ合った熱も、朝目覚めると彼の目尻か少し濡れていたことも。私はきっと、永遠に忘れることはないだろう。