【完】おにぎり恋愛日和‼︎

「とにかく中に入って」
「は?何で?・・・でしょうか」
「今現金持ってないし、携帯も置いてきたから」

それに誰かに見られたら大変でしょ。そう言って天音さんはビルの中に入っていってしまった。もちろん私の心配じゃなくて、自分の心配だということは分かっている。

(・・・そういえば天音さん、全然変装してなかった)

以前『一般人と週刊誌にすっぱ抜かれるような真似、するワケないでしょ』と豪語していた天音さん。信憑性がなさすぎやしませんか。

***

お世辞にも綺麗とは言えない外観のビル。天音さんが建物の中に入って行ってしまったことで、再びひとりになった私は声をかけられた。

「えぇ、誰?・・・もしかして追っかけ?」

いや、あなたこそ誰でしょうか。

新たなトラブルの予感がして頭を抱えたくなった。
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