【完】おにぎり恋愛日和‼︎
振り返ると、私と同じ背丈くらいの男の子がいた。
いや、女の子か?
ハンチング帽子にカラーサングラスにマスク。完全防備な変装に、正直性別の見分けもつかない。男の子にしては華奢だが、声色的に女の子じゃないような。
心の中で「どっちだろう」と凝視していると、その人は私を不審がるような声色で口を開く。
「君、誰?回答によっては警察呼ぶことになるけれど」
「警察?!いやいや、ただお弁当届けに来ただけですけど」
「・・・弁当?」
慌ててビニール袋をガシャガシャと少しだけ揺らしてみる。
「そもそも頼まれたから来ただけで、そんな追っかけするほど私も暇じゃないっていうか」
あなたももしかしてここに用事が?なら中に入って早く戻って来いって伝えてくれませんか?そう伝える。するとその人は「あぁ、うん、分かった」と歯切れが悪そうに口を開いた。