【完】おにぎり恋愛日和‼︎
「本当にお弁当屋さんだったんだね」
悪質なファンではないことが分かったからか、先ほどよりも随分と柔らかい口調になった彼。様子からしてどうやら警戒心を解いてくれたのだろうと安堵する。
「えぇ、まぁ。ってか天音さん、早く受け取ってくれません?お弁当冷めちゃうし・・・あ、もしかしてここ電子レンジとかあります?」
「あるわけないでしょ。はい、お弁当代ね」
「じゃあ早く食べて下さいよ!急いで持ってきたんですから!」
「アホ面で迷子になってたのはアンタでしょ」
こう言えば正論で返してくる天音さん。
ぐぬぬ、と口元をキュッと閉める私。
そりゃあ迷子になって遅れたのは申し訳ないけれど、方向音痴の私に配達を強制させた天音さんの所為でもあるはず。え、責任転嫁だろうって?もちろんここはご都合主義で。そんな言葉は私の辞書にはない。