【完】おにぎり恋愛日和‼︎
「ゆくゆくは海外進出も視野に入れているから空き時間に英語教えて貰ってるだけ。知ってる?この子、帰国子女で英語話せるから」
そう事務所をも巻き込んだ大嘘に、何も言い返せず黙ったままの女。「それとも何?アンタが英語教えてくれんの?ネイティブで話せるんだったらいいけど」と、天音くんはさらに追い討ちをかける。
いやいや、私も流石に目が点である。確かにそう説明した方がこの場は上手く治るかもしれないけれど、嘘がかなり大胆すぎる。
「えっと、天音くん?」
「アンタは黙ってて」
「ひゃい」
やはり口を挟むことは許されないらしい。彼の指示通り私はただ黙り続けた。
が、しかし頭が冷えた事でだんだん肌寒くなってきたような気がする。春も終わったとは言え、まだ気温はそう高くはない。食堂の空調もよく効いていて、思わず両手で腕をさする。