【完】おにぎり恋愛日和‼︎

一人暮らしで2LDKは広すぎやしないかと思いながら部屋の中を観察してみると、最低限の家具や雑貨のみでかなり殺風景な部屋だった。黒で統一している為、あまり温かみは感じられないが、男の子の一人暮らしなんてそんなものだろう。

「とにかく横になってて!何か適当に作ってくるから!」

とにかく天音くんを寝室に押し込んでから、私はすぐにキッチンに向かった。とりあえず瑠衣くんから預かったものと、道中寄ってもらったコンビニで私が買って来たものを、それぞれ袋から取り出す。

「いや、瑠衣くん・・・お菓子ばかりじゃん」

彼から預かった袋には、チョコやらポテトチップスやら病人に向かないような食べ物ばかり。もしや瑠衣くんは好きなものを食べたら風邪が治るなんて、そんなこと思ってはいないだろうか。天音くんが普段お菓子を食べないことは知っている。つまり、これらのお菓子は瑠衣くんの好きなものだろう。

それでもまだ長ネギ一本買ってこないだけマシか、とこれは絶対にファミリー用であろう冷蔵庫の中を開けた。

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