【完】おにぎり恋愛日和‼︎
気を取り直して、私は買ってきたレトルトのご飯と卵を持って使われた形跡の無いコンロの前に立つ。収納棚にあったぴかぴかで綺麗な鍋を使わせて貰い、ご飯と水と顆粒だしを入れて早速火にかけた。
全体的にぐつぐつとしてきたら、溶き卵を半時計回りに回し掛けていく。気持ちばかりお醤油で味付けをしたら、シンプルなたまご雑炊の完成である。
小ネギとか海苔とか散らしたいところだが、もちろんそんなものこの家にはないだろう。彩りが少々寂しいがこれで今日はこれで十分である。
これだったら天音くんも食べられるだろう。風邪ひいた時は喉に通りやすいものが1番だ。
「天音くーん、起きてる?」
「・・・起きてる」
「はは、声やばいね。顔と同じくらい大切なのに」
声をかけると寝室から天音くんが「入っていいよ」と許可が降りた。付き合ってもない男の寝室に入るなんて危険極まりないが、天音くんと私の間には何も起きない自信しか無い。よって何も警戒する事なし。何なら今の天音くんと私が殴り合いをしたら、私が勝つだろう。