【短編】ヴァンパイア総長様はあざとかわいい
「何? その“唯一”って」

 古賀くんは真剣な顔のまま説明してくれた。

「“唯一”っていうのは、俺にとってただ一人の血を持つ女の子」
「血?」
「そ……俺、ヴァンパイアだから」

 でも、それは想像もしてなかったもので……。

「ヴァンパイアには一人につき一人だけ、自分にとっての特別な血を持つ相手がいるんだ。見つけてしまったらその子の血が特に欲しくなっちゃうし、特別だからその子だけを求めるんだ」

 ちょっと待って、いきなりすぎて頭が追いつかない。

「昨日ヒメの血を舐めて分かったんだ。ヒメは俺の“唯一”だって。だから俺はもうヒメしか見れない」
「いや、ホントそれ重いんだけど」

 追いつかないながらも突っ込む。
 告白されたのに、その後の話が荒唐無稽すぎてドキドキもしていられない。

「ははっ、ごめんな。でも本当に俺、昨日からヒメのことばっか考えてるんだ」

 困ったように笑う古賀くんは、眉をハの字にして語り出す。
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