【短編】ヴァンパイア総長様はあざとかわいい
「ヒメはどんな女の子なのかな? 助けてくれたし、優しい子だよな、とか。あとは彼氏とかいなきゃいいなって。告白ももう少し仲良くなってからと思ったけど、桜の木のジンクス聞いたらなんか我慢出来なくてさ」
「……でも、桜は咲いてないから無効じゃない?」
「あ、そっか。気ぃはやり過ぎだわ俺……あー、カッコ悪い」

 本当に恥ずかしそうに頬を染めて照れる古賀くんはメチャクチャ可愛かった。
 いつものあざとさのない本当の照れ顔に思わずきゅぅんってなりそうだったけれど、私は情報の整理のため頑張って頭を働かせる。

 えっと、“唯一”とかは置いといたとしても、古賀くんが私を好きでいてくれるのは本当みたい。

 まずそれが分かって、一気に顔が熱くなる。

 古賀くんのことはまだよく知らないし、私が古賀くんを好きかどうかなんて分からない。
 でも嫌って程じゃなかったから、どうしたって照れちゃう。

「え、えっと。まず、古賀くんの気持ちは分かったから」

 赤い顔を誤魔化すように伝えた私は、一つ深呼吸してから他の確認をする。

「でもヴァンパイアっていうのはちょっと信じられないよ。確かに昨日舐められた指のケガが治ってたし不思議なことはあるけれど……」

 ……いや、もしかして指のケガが舐めただけで治った時点で信じる要素あるのかな?

 口にしてから思い直したけれど、でもやっぱりそんな簡単には信じられない。
 眉間にしわを寄せてうーん、とうなっていると古賀くんが近づいてきた。
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