【短編】ヴァンパイア総長様はあざとかわいい
第4話 ヴァンパイアで総長で
「ど? 信じてくれた?」

 学校から少し離れた川の土手に下ろしてくれた古賀くんは無邪気にすら見える可愛い笑顔でそう言った。

 でも今はどんなに可愛い笑顔でも騙されない。
 屋根から屋根へ飛び移ったり、ビルの屋上から飛び降りたり。
 軽々と余裕で移動していたけれど、私が怖がっているの分かっていて跳んでたでしょ⁉

「信じるよっ! でももうあんなことしないで!」

 あんな身体能力、普通の人間じゃああり得ない。
 信じるしかない状況にそれ以外の答えがなかった。

 睨みながら伝えると、困り笑顔。

「ざーんねん。怖がるヒメ可愛かったのに」
「ドエスかぁ⁉」

 思わず突っ込んだ私に、古賀くんは楽しそうに笑いながら頭をポンポンしてくる。

「……ヒメといると何だか楽しいな。“唯一”だから好きになるのかと思ったけど、そんなの関係なくても好きになったんだろうな」

 そして嬉しそうに笑うから、私は何も言えなくなった。

 しばらくそのまま頭を撫でられて、流石に気恥ずかしくなってくる。
 そろそろ学校に戻ろう、って提案しようとしたとき――。

「ん? お前、《Noche》のレオ⁉」
「てめぇ、昨日コテンパンに伸してやったのに何でそんなピンピンしてんだよ⁉」

 近くを通りかかったちょっとガラの悪そうな男の人たちが絡んできた。
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