【短編】ヴァンパイア総長様はあざとかわいい
「あっ」
とっさに腕を引っ込めようとした男はバランスを崩して……目の前に突き飛ばされた男はバランスを崩した方の男に巻き込まれて……。
結果、二人一緒に土手をゴロゴロと転げ落ちて行ってしまった。
でも、また襲い掛かってくるかもしれない。
私は古賀くんの近くに行って彼の袖をキュッと掴んだ。
「ヒメ……?」
不思議そうに私を見た古賀くんは、袖を掴んだ手をギュッと握ってくれる。
守るように包まれて、古賀くんの男の子の手に少し安心出来た。
「悪い、怖がらせたな」
ごめん、と謝る古賀くんを見上げるとあざとくない優しい微笑み。
その表情を見て、強張っていた肩の力も緩んだ。
「ってめぇ! イチャついてんじゃねぇ!」
「くそっ! その女の顔覚えたからな! 次はねぇぞ!」
男たちはそんな捨て台詞と共に走り去って行く。
また襲い掛かって来なかったことにホッとすると、古賀くんが「あちゃー……」と苦い顔をした。
「古賀くん?」
「ごめん、完全に巻き込んだ」
「何? どういうこと? さっきあの人たち古賀くんのこと《Noche》のレオって言ってたよね?」
思い出した。
《Noche》って最近できた暴走行為をしない暴走族とかいうチームの名前だ。
とっさに腕を引っ込めようとした男はバランスを崩して……目の前に突き飛ばされた男はバランスを崩した方の男に巻き込まれて……。
結果、二人一緒に土手をゴロゴロと転げ落ちて行ってしまった。
でも、また襲い掛かってくるかもしれない。
私は古賀くんの近くに行って彼の袖をキュッと掴んだ。
「ヒメ……?」
不思議そうに私を見た古賀くんは、袖を掴んだ手をギュッと握ってくれる。
守るように包まれて、古賀くんの男の子の手に少し安心出来た。
「悪い、怖がらせたな」
ごめん、と謝る古賀くんを見上げるとあざとくない優しい微笑み。
その表情を見て、強張っていた肩の力も緩んだ。
「ってめぇ! イチャついてんじゃねぇ!」
「くそっ! その女の顔覚えたからな! 次はねぇぞ!」
男たちはそんな捨て台詞と共に走り去って行く。
また襲い掛かって来なかったことにホッとすると、古賀くんが「あちゃー……」と苦い顔をした。
「古賀くん?」
「ごめん、完全に巻き込んだ」
「何? どういうこと? さっきあの人たち古賀くんのこと《Noche》のレオって言ってたよね?」
思い出した。
《Noche》って最近できた暴走行為をしない暴走族とかいうチームの名前だ。