【短編】ヴァンパイア総長様はあざとかわいい
「たしか、《Noche》って夜の街を守ってる暴走族だったよね?」

 まさか、その《Noche》?

 ついさっき古賀くんがヴァンパイアだってことを認めたばかりなのに、更に暴走族とか……頭パンクしちゃいそうだよ。

「あー……うん。俺、《Noche》の総長やってるんだ」
「え? ヴァンパイアなんだよね? それでさらに暴走族の総長って……」

 本気でこんがらがって来た私に、古賀くんは眉尻を下げたまま説明してくれた。

「この街に引っ越してきてすぐにさ、夜の街で歩いてたんだ。そしたらガラの悪いやつにからまれちゃって……」

 それで撃退したら一部の不良達に慕われちゃったらしい。
 その慕ってきた不良達に担ぎ上げられて《Noche》の総長になっちゃったんだとか。

「……それ、断れなかったの?」
「まあ、そこまで悪い気はしなかったし……それに《Noche》のメンバーは結構いいやつなんだぜ? お年寄り大事にしたり、小さい子が危ない目に遭わないようにさりげなく見張ってたり」
「……」

 それ、もう普通に良い人じゃん。って思った。
 でも確かにそんな人達に担ぎ上げられたら悪い気はしないのかな?
 《Noche》が夜の街を守るっていうのも納得かもしれない。
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