【短編】ヴァンパイア総長様はあざとかわいい
「でもさ、そうやって取り締まったりしてると良く思わない連中も出てくるんだよな」

 それがさっきの男たちだという。

「で、あいつらヒメの顔覚えたって言ってただろ?」
「うん、そういえば言ってたね?」
「たぶん、ヒメが俺の彼女だって思われた」
「え⁉」

 告白はされたけれど、OKの返事はしてないから彼女じゃないよね?
 でもあの男たちからはそう見えたってこと?

「だから今後、俺の弱みってことでヒメもあいつらに狙われるようになるかもしれない」
「え? はぁ⁉」

 なにそれ、すっごい迷惑!

「ということだから、ヒメには《Noche》の姫になって欲しいんだ」
「《Noche》の姫?」

 何が『ということだから』なのか分からないし、《Noche》の姫っていうのも何なのか分からない。

「姫っていうのは総長の彼女のことかな? 敵対するやつらに狙われやすいから、チームみんなで守るんだ」
「……」

 古賀くんの説明に納得できない部分はあるけれど理解はした。
 あの男達は顔を覚えたって言ってたから、確かに私は狙われちゃうんだろう。
 だからチームで守るっていうのも、まあ分かる。
 でも……。

「でも、私古賀くんの彼女じゃないよね?」

 そこだけはしっかり突っ込んでおく。
 すると古賀くんはイタズラっ子の笑みを浮かべて舌を出した。

「ちぇ、やっぱダメか」

 その様子から、どさくさに紛れて私を古賀くんの彼女の座にすえようとしてたんだって分かる。

「古賀くん⁉」

 非難しようと眉を吊り上げたけれど、彼はシュンと肩を落としてうつむいた。
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