【短編】ヴァンパイア総長様はあざとかわいい
***
指を切ってしまったけれど、カットしていたフルーツには幸い血がついていなかった。
おかげでフルーツタルトは無事完成。
指の痛みはありつつ、美味しく頂いて落ち込んだ気持ちも浮上してた。
そんな帰り道でのこと。
「……ん? 何だろう?」
日も暮れてきて人の気配が少なくなった公園前を通るとき、前からボロボロな男の子が歩いて来るのが見えた。
明るい茶髪はボサボサで、黒い学ランはまるで踏まれたみたいに靴跡がついている。
大丈夫かな? と思いつつ、進んで関わろうとは思っていなかったんだけど……。
「うっくぅ……」
丁度私とすれ違うってときに、彼はうめいて地面に倒れてしまった。
「えっ⁉ だ、大丈夫ですか⁉」
流石にすぐ近くで倒れられて声を掛けないわけにはいかない。
でも、声を掛けても肩を揺すってみてもうめき声が聞こえるだけ。
周りを見回しても他に助けてくれそうな人はいなくて。
仕方なく私は何とか男の子を起き上がらせ、すぐ近くの公園のベンチに座らせた。
「えっと、大丈夫ですか?」
「ん……サンキュ」
「っ⁉」
少し回復したのか、小さく笑みを見せてお礼を言ってくれる。
でも彼の顔を見た私は思わず息をのんじゃった。
指を切ってしまったけれど、カットしていたフルーツには幸い血がついていなかった。
おかげでフルーツタルトは無事完成。
指の痛みはありつつ、美味しく頂いて落ち込んだ気持ちも浮上してた。
そんな帰り道でのこと。
「……ん? 何だろう?」
日も暮れてきて人の気配が少なくなった公園前を通るとき、前からボロボロな男の子が歩いて来るのが見えた。
明るい茶髪はボサボサで、黒い学ランはまるで踏まれたみたいに靴跡がついている。
大丈夫かな? と思いつつ、進んで関わろうとは思っていなかったんだけど……。
「うっくぅ……」
丁度私とすれ違うってときに、彼はうめいて地面に倒れてしまった。
「えっ⁉ だ、大丈夫ですか⁉」
流石にすぐ近くで倒れられて声を掛けないわけにはいかない。
でも、声を掛けても肩を揺すってみてもうめき声が聞こえるだけ。
周りを見回しても他に助けてくれそうな人はいなくて。
仕方なく私は何とか男の子を起き上がらせ、すぐ近くの公園のベンチに座らせた。
「えっと、大丈夫ですか?」
「ん……サンキュ」
「っ⁉」
少し回復したのか、小さく笑みを見せてお礼を言ってくれる。
でも彼の顔を見た私は思わず息をのんじゃった。