司先輩、甘すぎです…
思わず、私はその場にしゃがみ込んだ。
震えを抑えるように自分の体を抱きしめる。
あーこんな時に思い出すなんて。
「情けないなぁ…」
そう掠れた声で呟いていた。
結局は、自分が悪いのに。
だけど、それでもあの記憶はきっと忘れられないんだ。
…なんで、こんなところに来ちゃったんだろう。
きっと思い出してしまうに決まっているのに。
ここに来てはいけないと心のどこかで感じていたのに。
…もう、この場を離れよう。
もっと思い出してしまう。あの記憶を。
だけど、体は動いてくれない。
金縛りにあったみたいに、動きたいのにその場から動けない。
…どうしよう。
「おい、大丈夫か?」
背後から男の人の低めの声が聞こえる。