司先輩、甘すぎです…

「ははっ何だそれ。救世主とか大袈裟。」

おかしくて笑ってしまう。
こんなに笑ったの久しぶりかも。

「いや、そんなことないですよ?あの場から動けなかったので、ホントあたしに声を掛けてくれたこと、感謝してます…」

本気で、そう思ってそうだな。

「あの、名前聞いても?」
「あぁ。俺の名前な。俺は、桐谷司。司は司会とかの方な。」
そんなこと、どうでもいいだろ!
そう心の中で自分にツッコむ。
「はい、わかりましたっ!桐谷先輩ですね。」

そう微笑んだ女。いや、美琴。
澄んだ水色の瞳を細めて、笑う姿はとても綺麗で思わずドキッとした。

なんだ?この感覚。

「…俺も司でいい。
美琴が名前呼びでいいんだったら、俺もそっちの方がいいだろ?」

不公平じゃねぇーしな。

「じゃあ、司先輩ですね!」

さらりとそう呼んだ俺の名前。
自分で呼んでいいって言った癖に、またドキッとしてしまった。

「ていうかさ、なんでこんなとこに美琴はいんの?」

気になっていた事を問いかける。

「え、とですね、友達とさっきまで居たんですけど、はぐれてしまって。
それで、勘で歩いてたらこの旧校舎にたどり着いて、本校舎と繋がっている入り口を探してたら、水泳部のところに入ってしまって。」
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