司先輩、甘すぎです…

部屋は窓を開けているからか、桜の花びらが舞い込んでいる。
窓が近くにあるソファにそっと彼女を降ろした。

よかった。起きてない。

気持ちよさそうに眠っているのを見てフッと笑みが溢れる。

…今まで顔が真っ青でそれどころじゃなかったけど、整った顔してるな…コイツ。
伏せられた長いまつ毛。
色白な肌。
小さい唇。

ーー…綺麗だ。

え、いや、なんで急に気持ち悪いこと考えてんの、俺。
俺は女を今まで嫌悪して避けてきた。
だから、そんな事を女相手に少しでもそう思った自分に嫌気が差す。

でも、コイツには嫌悪感もなくて、危機感を感じることもなかった。
逆になぜかそばに居ると心が安らぐ。

なんなんだ?初対面だぞ?

男でも、女でも初対面だったら普通、人を信用することなんてできない。
安心することだってないし、逆に相手を少しは疑う。
意味がわからない。
自分自身がよくわからない。

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