司先輩、甘すぎです…
「何?」
「なんで、聞かないんですか?」
「ん?何を?」
「私があの場所でうずくまってた理由。」
あーそれな。
「忘れてたわ」
いや、マジでな。
聞くの忘れてた。
「まぁ気になってるちゃ気になってるけど。言いたくないんだろ?」
普通に言いたそうじゃなかったから、わすれてたんだけど。
そうじゃなかったのか?
「…。」
黙り込んだ美琴。
え、どうした?
全然喋らないからどうしたのかと焦る。
すると…
「ありがとうございます…司先輩は優しいですね。」
ふふっと笑いながらそう言って笑った彼女。
思わずドキッと高鳴る心臓。
いや、マジでどうした?俺の体。
「そうか?まぁ、お前はちょっと他の女とは違うからな。なんか放っておけないつーか。」
そう言うと、ぼっと頬を赤らめた美琴。
どうしたんだ?
まぁ、いっか。
「じゃあな。」
「はい!また、会えたらもっとお話ししましょうね。」
そう言って、体育館へ走り出した背中。
さて、俺も行くか。
今度こそ、俺は教室に向かって歩き出した。
はぁ、本当不思議なヤツだった。
今まで会ってきた女とは違って、嫌悪感も最初からなかったし…
何より、アイツといる時間が心地よかった。
ぼんやり、さっきまでの美琴とのやり取りを思い出しながら、微笑んだ。