司先輩、甘すぎです…

再会


ホント、良い人だ…司先輩。
私があそこでうずくまってた理由を聞かないでくれて、私が言いたくないことも気にしてくれた。
単純にそうしてくれたことが嬉しかった。
また、会えたら話したいなぁ…お礼もしたいし。

ってのんびり考えてる場合じゃない!!
はっとして急ぎ足で体育館に駆け込んだ。

「ちょ、お前、新入生だよな?」

眼鏡をかけた先生に声をかけられる。

「は、はい」

「今までどこに行ってたんだ!?」

「あ、えと、旧校舎で迷ってしまって…」

「は!?」

わけがわからないとでも言いたそうに眉間にシワを寄せた先生。

「えと、その一緒にいた友達とはぐれてしまって、間違えて旧校舎に迷い込んじゃったんです…」

「それで?」

「旧校舎にいた先輩に会って、ここまで案内してもらいました!」

とりあえず、司先輩の名前は伏せておこう。
先生の反応を見る限り、旧校舎って普通入ったら行けないところみたいだし…
もしかしたら、私が司先輩の名前を言ったら、わたしを助けてくれた先輩も怒られたりするかもしれない。
それだけは防がなければ!

この考えが私の杞憂だと知るのは何週間も後の話。
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