司先輩、甘すぎです…
「って、は?」
氷室くんが困惑したような表情で呟いた。
「は?今、橘美琴って言った?」
「えっ、あ、はい。」
それが何か?
私は思わず首を傾げた。
「もしかして、美琴?」
「は?」
え、なんで、急に名前呼び?
っていうか、私のこと知ってる?
「え?もしかして私のこと知ってるんですか?」
「あぁ」
「美琴は覚えてない?俺のこと」
「あの、ごめんなさい。覚えてなくて。」
「そっか。」
な、なんだか申し訳ない。
彼は少しショックを受けてるみたいだった。
っていうか、なんかさっきと雰囲気ちがうような気がする。
さっきはちょっと近づきにくい雰囲気があったのに、今はなんか耳を垂らした犬みたい…
って失礼だ!
「俺はお前の幼なじみで、中学までずっと一緒に過ごしたんだ。凌くんってよく美琴は呼んでたんだけど、ホントに覚えてない?」
幼なじみ?彼が?
彼の言葉に耳を疑う。
っていうか、凌くんって…
ーーーーーー「凌くんっ」
子供の頃、そう幼なじみの男の子を呼んでいた。
その男の子と一緒にいると、楽しくていつも一緒にいたっけな…
小学校も一緒で、家が隣だったから行きも帰りも一緒で、よくお互いの家に行ききしてた。
でも、凌くんは親の仕事の都合で引っ越さなくなくちゃいけなくなって、中学に入ってからは一切関係がなくなったんだよね…
あの時は、結構寂しかったな。
凌くんとは、もう兄妹同然だと思ってたから…
その凌くんは、今目の前にいる彼みたいに淡い瑠璃色の髪をしていて、キレイな髪と同じ色の瞳で…