司先輩、甘すぎです…


ついに…待ちに待った放課後。
今日からは普通に6時間目まであって、授業はガッツリで終わる頃にはもう疲れでげっそりしていた。
うぅ…ただでさえ、勉強が苦手なのに授業は進むのが早いし…
ていうか、そんなことよりも…
「緊張と不安でやばい…」
「何が?」
ぼそっと呟いたのが聞こえたのか、机に突っ伏していた音が顔を上げて反応した。
相変わらずの地獄耳…
「いや、なんでも…」
そう言って誤魔化すけど、目が泳いでしまう。
くっ、嘘つくの下手すぎる…
「なんかある表情だな?」
音が口角を上げて私のことをじっと見つめてきた。
音の綺麗な漆黒の瞳に見つめられると、何もかも見透かされそうな感じがして、ごくりとつばを呑んだ。
じ…と見つめられて、数秒。
その視線にとうとう耐えきれなくなった私は、逃げるように鞄を持って教室を出た。
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