司先輩、甘すぎです…
ほっ、よかった…
「まだ、いた…」
教室に入って起こさないように静かに窓際の机に近づく。
窓から差し込んだ光に司先輩の綺麗な黒髪が反射して、キラキラ輝いている。
綺麗…
伏せているまつ毛は長くて頬に影を作るほどだ。
まるで芸術作品のように美しい。
でも、眠っている顔はいつもより少し幼く見える。
なんだかかわいい…
無防備な寝顔に思わずキュンとしてしまった。
…昨日会ったばかりだけど、司先輩ってすごくかっこいいから、ちょっと意外だ…

…って、人の寝顔を観察するとか、私、趣味悪いな…

…うーん。
私は司先輩にお礼を言いたくてきたけど、
この場合、起こしてしまった方がいいのかな?
ぐっすり寝ているし、起こすのも可哀想だ。
それに、私がお礼を言うためだけに、起こすのは自分勝手すぎる。



< 63 / 81 >

この作品をシェア

pagetop