司先輩、甘すぎです…
嫌な夢ってよく見るのかな?
なんともないというように先輩が笑うから、胸がギュッと痛む。
「それよりも、本当に腕大丈夫か?俺、結構な力で掴んでただろ?」
ほら座れと言って近くにあった椅子に促した先輩。
椅子に座ってお互いが向かい合う形になる。
司先輩は私の制服の袖をめくって掴んでいた腕を触ってじっと確認している。
心配するように優しい声色でそう言われて、唇を噛み締める。
さっきよりももっと胸が痛んだ。
また、私の心配…。
もしかして、もしかして、この人はいつもこういう時1人だったのだろうか。
苦しい時、辛い時、1人で抱えていたのだろうか。
もし、1人ではなくてもきっと悟られないように笑顔で大丈夫だと言っていたんだと思う。
そう思うと、もうどうしようもなくて司先輩に腕を伸ばして私は抱きしめていた。