司先輩、甘すぎです…
「…そういえば、美琴はなんで教室に?」
先輩に、そう聞かれてやっとここにきた自分の目的を思い出した。
「あ、それはですね。
お礼を言いにきたんです。」
「お礼?」
「はい。
改めて、あの時助けてくれてありがとうございました!」
もう一度、ちゃんと頭を下げて感謝を伝えた。
先輩は私にとってあの時助けてくれた恩人だから。
本当に返しきれないくらい恩がある。
「大袈裟すぎるだろw……でも、ありがとな。」
そう言われて私の気持ちが少しでも伝わった気がして嬉しくなる。
「でも、本当にそれだけで来たのか?」
「え、あ、はい!
もしかして…迷惑でしたか!?」
「いやそうじゃない。
ただ…それだけ伝えに俺のとこまで来てくれたのが、可愛いなと思っただけ。」
「……へ!?」
〝可愛い〟と甘い笑顔のダブルパンチに顔がカァッと熱くなる。
「顔真っ赤…」
「わざわざ言わないでください!」
見られるのが恥ずかしくて、ふいっと顔を背ける。
「こら、見えないだろ、顔が。」
「ちょっ、覗き込まないでください!」
「…ふっ」
こちらは必死に恥ずかしいのを我慢しているというのに、司先輩は私の様子をみて楽しそうに笑っている。
…意地悪だ…

…でも、司先輩の笑顔を見れたのが嬉しいことも相まって、そんなに怒ることができない。

「…本当に面白いな、お前。」
「それなら良かったです…!」
ただ、なんとなく司先輩の手のひらで踊らされてるような気がして、投げやりに答えてしまう。
「……あ、そういえば。」
「ん?」
「先輩にお礼も含めて何かしたいなと思っていたんです!」
話がさっきからずれているけど、私が本来ここに来たのは司先輩に感謝を伝えるため。そして、お礼をするためだ。
(もちろん、迷惑じゃなければの話だけど。)
「礼?」
「はい!迷惑じゃなければですけど。」
「……。」
…こ、この間はお礼はいらないってことかな?
やっぱり迷惑だよね。
「…。」
「あ、やっぱりお礼なんていらないで「じゃあ、
放課後付き合って。」
かっこいいお顔をぐいっと近づけて、食い込み気味に言われて、顔が爆発しそうになったのは言うまでもなかった。



































































































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