夏の夜、路地裏から始まるひとつの恋の行く末は
「千羽矢さんは、私から何を聞きたいのです?」
彼の質問には答えずに、先程と同じような質問をする。
「それは、君が1番よく分かってるんじゃない?」
首を傾げ、わざとらしいほどの困り顔を見せた。
彼が私から聞きたいこと、思い上がりかもしれないけど、それは1つしかない。
……私の、彼への気持ち。
「…、もし、私が思っている通りだとしても千羽矢さんが知って何になるのですか? 貴方は、私の事が好きでは無いくせに。」
余計な一言を言ってしまった。
彼の返答を真似て、はぐらかそうと思ったのに。
これでは、ほとんど答えているのと同じではないか。